9作品目:阿・吽
9作品目は…さいきんの中ではかなりドハマりしています
『阿・吽』(既刊7巻 2018/05現在)
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「サプリ」「&」など、恋愛や仕事に悩む女性の心を繊細に描いてきた、おかざき真理さんの新境地ともいえる仏教マンガ。
天台宗を開いた伝教大師 最澄と、真言密教を日本に広めた弘法大師 空海、日本の仏教界の2大スターの生き様を描く。
物語は奈良から京都へと遷都した平安初期。僧としてエリートコースを進みながら、僧侶の堕落ぶりに失望し、山にこもった最澄。非凡な才能と類まれなる頭脳の持ち主で学問の道に進んでいたものの、学問では自分を満たすことはできない、と家を飛び出した空海。2人の天才は真理を求め、それぞれの道を歩きだす。
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2人がそれぞれの人生を交錯させていたというのは私も知りませんでした。(そもそもそんなに詳しくない)歴史の勉強にもなります。
ちなみに、「阿吽(あうん)」は仏教の呪文(真言)の1つ。悉曇文字(梵字)において、阿は口を開いて最初に出す音、吽は口を閉じて出す最後の音であり、そこから、それぞれ宇宙の始まりと終わりを表す言葉とされています。
また、宇宙のほかにも、前者を真実や求道心に、後者を智慧や涅槃にたとえる場合もあるそうです。
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タイプの違う2人の天才が本当に魅力的…。
心優しく繊細、しかし内側に秘めた熱い想い、自身が歩むべき道に揺るぎのない最澄。
荒削りで野生の動物のような感性を持ちつつ、自らの命を顧みないほど真理の探究に没頭する空海。
なにしろ、空海がかっこよすぎ。好き。
周囲の人も空海の魅力にどんどん飲まれていくのもよく分かります。
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常人には理解できない2人の天才の描写もさることながら、2人を取り巻く周囲の人々からは、人間の愚かさや恐ろしさ、そして儚さを感じ、おかざきさんすごい、の一言です。
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そして、なにより絵の美しさ…!
個人的には、遣唐使として遂に唐に渡った6巻は、美しい描写が多くてすごく好きです。
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これまた個人的な話ですが、昨年初めて高野山に行き、結縁灌頂を受け、奥の院の雰囲気に圧倒されたこともあり、ますます「阿・吽」を読むのが楽しくなりました。
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現在は7巻まで。
遣唐使の任を終えて帰国した最澄を待っていたのは策略入り乱れる朝廷。
一方、長安に残り、密教の深奥部へ突き進む空海もまた巨大な存在にぶち当たる。
(内容紹介文より)
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早く続きが読みたいです!